授乳中に胸が張ることはよくありますね。

片方の胸だけが張ってしまって、不安になったという経験をした方もいらっしゃるでしょう。
片方の胸だけが張る原因は色々ありますし、両方全く同じ張りや大きさ、母乳の出かたをするお母さんの方が少ないかかもしれません。

片方だけの乳房が張る原因としては、母乳の飲み残しや乳腺の詰まり、乳房の反応が強い、乳腺炎が挙げられます。

ここでは、一つずつ原因と対処方法についてお話します。

母乳の飲み残し

原因

片方だけの乳房が張るときの原因としてまず考えられるのは、「母乳の飲み残し」です。
赤ちゃんが飲む量よりも多くの母乳が作られて、飲みきれなかった母乳によって乳房が張っていると感じることがあります。

この場合は、特に深刻な状態ではありません。

対処方法

乳房に残っている母乳を出しておく必要がありますので、搾乳をしましょう。
手で搾っても搾乳器を使ってもどちらでも大丈夫です。

次の授乳を待っても乳房がカチカチになることがない場合は、赤ちゃんのペースで母乳を飲んでもらいましょう。
次の授乳まで待てないほど乳房の張りが強い場合は、やはり搾った方が良いですね。

可能なら、授乳時間を長くしたり頻繁に授乳したりすると乳房の張りが良くなることがあります。

乳房の反応が強い

原因

乳首の形状が飲みやすい、母乳がよく出る、長い時間飲むことなどにより、乳房の反応が強くなり、その乳房だけによく張りを感じるという方もいらっしゃいます。

これらは関連していて、飲みやすいから長く飲むと、母乳もそれだけよく出る、また刺激を受けてたくさん母乳を作り、吸い付くとよく出るから長く飲み・・・と相乗効果で片方の乳房が反対側よりも張ったり、よく出たりすることがあります。

そうすると、反対側の乳房はそれほど飲みやすくないので、吸い付く時間が短くなったり、母乳量も程々の量しか出なかったりするのです。
両方の乳房が全く同じ張り方、同じ大きさ、同じ母乳量という方の方が少ないのではないでしょうか。

どうして?対処方法は?授乳中の片方だけの胸の張り image 1

その意味では、片方の乳房だけが張るということは深刻な問題ではありません。

対処方法

特別な対処をする必要はありません。

でも、片方だけに張りを感じて左右の差が気になる場合は、張りを感じない方の授乳回数や授乳時間を増やすように心がけてみましょう。

赤ちゃんがそれほど吸い付いてくれない場合は、授乳が終わったら搾乳器や自分の指で乳頭を刺激しておくとよいでしょう。
搾乳の手技と同じです。

乳頭の刺激があればあるほど、母乳に関するホルモンが分泌されて、乳房が母乳を作るように反応していきます。

乳腺がつまりかけている

原因

乳腺がつまりかけている場合は、赤ちゃんが母乳を飲みきれない場合よりも強く乳房の張りを感じるかもしれません。

完全に乳腺が詰まっていなくても、乳腺が細くなっていて母乳が出にくくなっている場合は、痛みを感じることもあるでしょう。

つまりかけている場所をなくしておかないと、完全につまってしまって乳腺炎に移行することもありますので、注意が必要です。

対処方法

頻繁に授乳し、搾乳もしてみましょう。
頻繁な授乳や搾乳をしても張りがおさまらない場合や痛みがある場合は、助産師に相談することをおすすめします。

相談できる助産師がいない場合は、次のことを試してみましょう。

  • 葛根湯を飲む。
  • 乳房を温めて、十分動かして授乳したり搾乳したりする。

それでも良くならない場合や痛みが増してくる場合は、医師の診察を受けてくださいね。

ギリギリまで様子を見ないほうが無難です。
ひどくなる場合は、乳腺炎になって治療が大変になることもあります。

どうして?対処方法は?授乳中の片方だけの胸の張り image 2

乳腺炎

片方の乳房だけに張りを感じて、痛み、しこり、38度以上の発熱があるときには乳腺炎になっているかもしれません。

乳腺炎は、母乳中の白血球や細菌の数によって、「非感染性(うっ滞性)乳腺炎」と「感染性(化膿性)乳腺炎」に分類されます。

非感染性(うっ滞性)乳腺炎

原因は、母乳が分泌されるときに通る管である乳管が詰まったり、母乳がたまったりしているために、乳房に炎症症状が出た場合をいいます。

乳房の張りや痛み、乳房が熱い、硬い、赤くなるなどの症状が出ることがあります。
乳房が熱いだけで、たいていは全身的な熱は出ないことが多いものです。

「感染性(化膿性)乳腺炎

原因は、乳頭や乳輪部の傷口から感染することによって起こります。

38度以上の高熱、乳房の腫れや痛み、乳房が熱い、赤くなるなどの症状が出ることが多いです。
急に発熱し、寒気や関節痛などの症状が出る場合もあります。

対処方法

非感染性(うっ滞性)乳腺炎では、頻回な授乳や搾乳をして、張りを感じる場所を冷やしてみてください。

それでも良くならないときや、感染性(化膿性)乳腺炎のときには、すぐに医師の診察を受けましょう。

この場合は、抗生物質が必要になることが多いため、助産師ではなく医師の診察を受けなければなりません。
病院によっては、抗生物質を出してもらってから、助産師によるマッサージを受ける場合もあります。

乳房の症状があって高熱が出たら、まず感染性(化膿性)乳腺炎を疑い、早めに対処することをおすすめします。
なぜかというと、ひどくなる場合は、乳房を切開して排膿しなければならないことがあるからです。

まとめ

片方だけの乳房が張る原因には、母乳の飲み残しや乳房の反応が強い場合や乳腺がつまりかけている場合があります。たいていは、頻回授乳や搾乳で良くなっていきます。

どちらか一方だけ乳房の張りを感じたり、大きかったり、母乳量が多いことはよくあることです。
でも、乳腺炎の場合には注意が必要ですので、早めの対処を心がけましょう。