赤ちゃんが生後10ヶ月頃だと、まだ卒乳についてはあまり考えていない方も多いことでしょう。
でも、反対に生後10ヶ月で赤ちゃんが自然卒乳したという方もいらっしゃって、とても戸惑ってしまったということもお聞きしま&す。
1歳前に自然に卒乳する赤ちゃんの栄養は、どのように考えればいいのでしょうか。
離乳食だけでまかなえるものなのかどうか心配になりますね。
生後10ヶ月で卒乳した場合、ミルクを与えるべきかどうか、離乳食の与え方など、赤ちゃんの栄養についてお話します。
平均的な離乳食の進み具合
生後10ヶ月頃には、離乳食がスムーズに進んでいると1日3回食になっていることが多いと思います。
この頃は、歯茎でつぶせるくらいの硬さのものが食べられるようになっています。
前歯で噛み切って、奥歯でつぶせるようにようになり、大人と同じような口と歯の動きをする練習の時期です。
ミルクや母乳も食事と授乳時間に合わせて、欲しがるだけ与えている頃です。
生後10ヶ月の離乳食の栄養の割合
一般的に、離乳が完了するのが1歳から1歳半と言われています。
下の表にまとめたように、生後9?11ヶ月の赤ちゃんでは、1日の食事回数は3回になっています。
3回食になったら、栄養の60%ほどは離乳食から摂れるようになっているのが理想的です。
月齢
1日の食事の回数
食事の割合
母乳・ミルクの割合
5-6ヶ月
1回
20%
80%
7-8ヶ月
2回
40%
60%
9-11ヶ月
3回
60%
40%
12-18ヶ月
3回とおやつ1回
80%
20%
鉄分を強化する時期
一般的に、生後9-10ヶ月頃に足りなくなる栄養素の一つとして、鉄分が挙げられます。
離乳食の前半は鉄分の少ない食事が多いため、離乳食の後半には鉄分が不足してくるのです。
赤ちゃんの食事で鉄分を強化するための工夫をお話します。
赤身の魚や肉
赤身の魚や肉、レバーを離乳食に取り入れるといいですね。
よく火を通して与えましょう。
火を通すと少しパサパサするので、水分を多くしたりとろみをつけたりすると食べやすいですね。
レバーは、人参や玉ねぎと煮てだしで味をつけ、ミキサーにかけるとペースト状になり、ご飯にもパンにも合いますよ。
1回に与える量の目安
マグロの赤身
10-12g
刺し身
大1切れ
鶏レバー
13-16g
ミルク・フォローアップミルク
もう一つ工夫して取り入れることができるものがあります。
それは、ミルクです。
鉄分があまり含まれていない牛乳を離乳食に利用する代わりに、ミルクやフォローアップミルクを利用すると、鉄分の補給になります。
シチューやミルクスープなど牛乳がレシピに含まれているものに使ってみてはいかがでしょうか。
下記に母乳、ミルク、フォローアップミルク、牛乳の栄養素の比較をまとめていますので参考にしてくださいね。。
母乳100g・育児用粉ミルク・フォローアップミルク・牛乳100mlあたりの栄養成分
栄養成分
母乳
育児用粉ミルク
フォローアップミルク
牛乳
エネルギー
65
67
66.6
67
タンパク質
1.1
1.61
2.0
3.3
脂質
3.5
3.6
2.8
3.8
炭水化物
7.2
7.16
8.4
4.8
カルシウム
27
55
84
110
ビタミンD
0.3
0.9
0.7
0.3
鉄
0.04
0.78
1.12
0.02
ミルクの必要性
鉄分を強化することとは別として、生後10ヶ月で卒乳した場合のミルクの必要性のお話をしましょう。
生後10ヶ月では、先ほどもお伝えしましたように、離乳食から約60%、母乳やミルクから40%の栄養を摂っていると考えられます。
そのため、生後10ヶ月に卒乳した場合は、母乳のかわりに40%はミルクから栄養を摂る必要があります。
1日分の半分に近い量の栄養をミルクから摂る必要があると考えると、できたらまだ卒乳はしない方が良いということになります。
ですが、赤ちゃんが自然に卒乳してしまった場合は、仕方がありませんよね。
その場合は、「いまさら・・・」と思うかもしれませんが、育児用ミルクを与えましょう。
哺乳瓶を嫌がるようなら、コップやマグで与えても大丈夫です。
フォローアップミルクの特徴
フォローアップミルクには、鉄分が豊富に含まれていますが、全体的な栄養バランスは、育児用ミルクの方が優れています。
フォローアップミルクは、必ずしも与えなくてはならないものではありません。
鉄分の補給として、牛乳のかわりに使用すると考えておいたほうが良いでしょう。
フォローアップミルクの特徴をまとめました。
フォローアップミルクの特徴
- たんぱく質、カルシウム、鉄分が含まれている。
- 鉄分の吸収を良くするためにビタミンCが添加されている。
- 銅や、亜鉛などのミネラル類は入っていない。これらは赤ちゃんでも必要な大事な栄養素である。
- 離乳食を普通に食べている赤ちゃんがフォローアップミルクを飲むと、たんぱく質の摂り過ぎになってしまう可能性がある。
- 牛乳の代わりになるもので、育児用ミルクの代わりにはならない。
- 育児用ミルクよりも製造工程が簡単なため、値段が安い。
まとめ
生後10ヶ月で卒乳した場合のミルクの必要性、離乳食の与え方の工夫など、赤ちゃんの栄養についてお伝えしました。
生後10ヶ月だと、ちょうど鉄分が足りなくなる頃なので、食事面では鉄分を強化する必要があります。
また、この頃は、離乳食からは1日の約60%の栄養を摂っていることが理想とされていますので、後の40%はミルクを補給する必要があります。
離乳が完了するのは1歳から1歳半と言われていますので、その頃に離乳食がスムーズに進んでいるようなら、ミルクはやめても良いでしょう。
地域の保健センターには、栄養士が勤務していることがあります。
赤ちゃんの栄養面で気になることがあるときには、栄養士か助産師に相談できるといいですね。