生後10ヶ月で卒乳する場合、「卒乳にはちょっと早いかな」「うまく卒乳できるかな」「トラブルが心配」など、不安に感じていると思います。
でも、「育児休暇終了までに卒乳しなければならない」「高齢出産になるから早く次の赤ちゃんがほしい」という方もいらっしゃるでしょう。
卒乳する理由は様々だと思います。
ここでは、生後10ヶ月で卒乳する必要がある方へ向けて、卒乳方法をお伝えします。
理想的な卒乳方法
生後10ヶ月で1日何回くらい母乳を飲んでいるかにもよりますが、理想的なのは、まず徐々に母乳の回数を減らしていくことです。
いきなり母乳の回数をゼロにする方法(断乳)もありますが、赤ちゃんとお母さんの負担が大きくなります。
下記のご紹介する卒乳方法で進める場合でも、乳房は刺激(授乳したり搾ったりすること)しすぎると良くないため、どれくらいの間隔で、どの程度(全部搾るまたは少し圧抜きするなど)搾乳する必要があるのかを、乳房の状態を観察しながら行うのが理想で、助産師に相談、または実際に確認してもらいながらできるといいですね。
卒乳1ヶ月前
まずは、1日5−6回母乳を飲んでいるようなら、2−3日に1回のペースで母乳を飲む回数を減らしていきましょう。
少し余裕を持って、卒乳したい日の1ヶ月ほど前から回数を減らしていくと良いでしょう。
うまくいっても2−3日に1回ペースで行うのが、負担のない方法です。
短期間に母乳の回数を減らすと、母乳が溜まって乳房が痛くなったり、張ったりしやすいからです。
卒乳1週間−10日前
この頃に、1日の母乳回数が1回になっているといいですね。
最後の1回をいつやめるかを決めて、最後はたっぷりと母乳を飲ませてあげてください。
その後は、乳房を触らないようにして乳房を冷やすと効果的です。
そして、しっかりと乳房を支えられるブラジャーを身に着けることをおすすめします。
ゆったりとしたブラジャーをつけ続けると、乳房が揺れて刺激となる可能性もあります。
最後の母乳をやめて1−2日
最後の母乳を与えた後は、できるだけ乳房を触らないようにしましょう。
乳房が張ってきたり痛くなったりしてきたら、少しだけ圧を抜く程度搾りましょう。
圧を抜いただけではまだ乳房が痛い場合は、痛みが和らぐくらいまで搾ってみても良いでしょう。
このときには、乳房の刺激になりますので温めないようにしてくださいね。
圧抜きや搾乳の後は、できれば保冷剤などで冷やしてみてください。
寒い場合は、無理をして冷やす必要はありません。
その後、できるだけ長く搾乳をしなくても良い状態が理想です。
もし、乳房が張ってくるようなら、できるだけ我慢して搾乳してみましょう。
搾乳の間隔が、前に搾った間隔よりも長く開いているのが理想です。
搾乳が3回以上必要な場合、助産師に相談したほうがいいですね。
乳房の状態を診てもらい、必要に応じて搾乳に関するアドバイスや乳房のマッサージをしてくれると思います。
自分で搾乳できる場合、しっかりと搾る方法もありますが、乳房の状態によって搾るタイミングがありますので、助産師に相談すると良いでしょう。
母乳をやめて5−7日後
最後の母乳をやめて1週間近く、乳房の張りや痛みなどの症状がない場合、卒乳終了です。
その後は、乳房を触らないように、引き続きしっかりとしたブラジャーを身に着けておくと良いでしょう。
卒乳後のケア
卒乳して気になるのがその後の乳房のケアのことですね。
「助産師に乳房のマッサージをしてもらわないといけない」「母乳が残っているとガンになる」「古い母乳があると、次の出産のときに赤ちゃんに飲ませることになる」など、様々なことが言われているようです。
でも、全部科学的な根拠のない情報です。
気になる場合は、助産師に相談してチェックしてもらうといいですね。
必ずしも乳房マッサージが必要なわけではありませんが、やってもらうと安心するというのではれば、乳房マッサージを受けてもよいでしょう。
乳房に悪影響を与えることはありません。
食事とミルクの必要性
生後10ヶ月になっていると、離乳食は3回食になっていることが多いのではないでしょうか。
一般的に、離乳が完了するのが1歳から1歳半と言われています。
生後9−11ヶ月の赤ちゃんでは離乳食からの栄養は全体の約60%、1歳から1歳半頃では約80%と言われています。
このことから、生後10ヶ月に卒乳する場合はミルクが必要だとされています。
離乳食の進みが良く量的にもよく食べていて、成長や健康に問題ない場合、必ずしもミルクは必要ないかもしれません。
でも、何か心配なことがある場合は、小児科医に相談することをおすすめします。
精神的な安定
母乳を飲むことは、赤ちゃんにもわかりやすい愛情表現だと言われています。
生後10ヶ月では、ハイハイをしたりつかまり立ちをしたり、歩いてもいるかもしれませんね。
行動範囲が広がって、日々冒険をしてたくさんの刺激を受けていることでしょう。
その中で、母乳を飲むことを安全地帯での安らぎとして捉えている赤ちゃんも多いと言われています。
でも、卒乳する必要がある場合、赤ちゃんに愛情や安らぎを与えられなくなってしまうのではないかと不安になる必要はありません。
抱き上げたりハグしたりでも赤ちゃんに安らぎを感じてもらうことができます。
また、一緒に遊んだりお話をしたりなど、日常生活の中での赤ちゃんのお世話も愛情を示す行動です。
卒乳したからといって、赤ちゃんへの愛情がなくなったり、少なくなったりしたということではありませんね。
卒乳は成長の一環として捉え、卒乳できたときにはたくさん褒めてあげましょう。
卒乳に関するトラブル
卒乳に関するトラブルについてお話します。
乳腺炎
卒乳するために母乳を与える回数を減らしたり、母乳を与えなくなったりしたときに、乳腺炎になる方がいらっしゃいます。
乳腺炎の症状は、発熱、乳房の張り、痛み、発赤、硬結(硬くなること)などです。
搾乳などをしても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けましょう。
特に発熱しているときには、要注意です。
自己判断で受診しないということがないようにしましょう。
場合によっては、卒乳は延期になることがあります。
なぜならば、搾乳をするよりも赤ちゃんに母乳を吸ってもらった方が症状が改善することがあるからです。
余談ですが、乳腺炎のときでも赤ちゃんが嫌がらなければ母乳を与えても大丈夫です。
母乳を与えることで赤ちゃんに感染することはありません。
赤ちゃんの病気
卒乳を進めている最中に赤ちゃんの体調が悪くなったり、病気になって食事ができないことがあります。
その場合、食事も母乳もないと栄養面で心配です。
2−3日だけの体調不良で、その後はいつものように食事が食べられるようなら問題ありませんが、それ以上の期間食事も母乳も身体に入っていかないと心配です。
そんなときには、ミルクを与えるか、母乳を再開したり回数を戻したりすることも考えましょう。
赤ちゃんが抵抗する
卒乳するにあたって、赤ちゃんがどうしても卒乳したくない場合、抵抗します。
母乳回数を減らしている最中は問題なかったとしても、最後の1回の母乳がなくなると激しく泣いたり、機嫌が悪くなったりする可能性があります。
例えば、夜寝る前の母乳が最後まで残っている場合など、母乳を飲みながら眠りにつきたいと泣くことがあります。
そこを何とか乗り越えて卒乳に持っていかなければ、卒乳は完了しませんので親子ともに山場です。
その日は、赤ちゃんが眠りにつくまでとことん付き合うか、「寝る前にちょっと飲むくらいならいいか」と思うかはそれぞれの考えによります。
まとめ
生後10ヶ月で卒乳する方法をお伝えしました。
生後10ヶ月の赤ちゃんは、この時期に卒乳するとミルクが必要なことがあります。
また、1日に母乳を何回与えているかにもよりますが、乳腺炎になる可能性もありますので、卒乳をするときには助産師に相談しながら行うのが理想です。
もし、卒乳を進めているときに発熱したり乳房の張りや痛みが良くならなかったりする場合は、医師の診察を受けましょう。
スムーズにトラブルなく卒乳できるといいですね。