妊娠中の胸の変化として、初期にみられるのが胸の張りです。胸の張りは、生理前にも見られる症状であり、いつ頃からみ見られる症状なのか気になるところですよね。
また、胸の張りは妊娠中も続くのでしょうか?妊娠中の胸の張りがみられる時期について、胸の張りが起こる理由とともに見ていきましょう。
妊娠中にみられる胸の張りとは
妊娠中にみられる胸の張りは以下のような症状がみられます。
- 胸が張って大きくなる
- 胸が張って痛い
- 手を上げると脇が痛い
- 乳頭が敏感になり、下着に擦れると痛い
- 乳頭がチクチクする
生理前の胸の張りとの違いはある?
生理前にも妊娠初期にみられる胸の張りを感じる方もいらっしゃいますよね。私自身、生理前にも胸の張りがみられますが、三人の子どもの妊娠前には普段の生理前よりも強い胸の張りを感じ、何をしていても常に胸や脇のあたりが痛くて気になっていました。
しかし、胸の張りの出方には個人差があり、張りをほとんど感じない方や、生理前の胸の張りと差がない方もいるようです。胸の張りはそもそもどうして起こるのでしょうか?
妊娠中の胸の張りがみられるのは女性ホルモンの変化
女性の身体の生理周期は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きによってつくられています。胸の張りは、女性ホルモンの分泌量の変化によって起こるのです。
胸の張りをもたらすプロゲステロン
妊娠すると、赤ちゃんを育てるための身体の環境を整えるために、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が増えます。エストロゲンは胎盤の発達を助け、プロゲステロンは、子宮や乳腺への血液量を増やします。子宮や乳腺への血液量が増えると、子宮や乳房の水分量が増え、下腹部の張りや胸の張りを感じるようになります。
胸の張りはいつからみられる?
妊娠中の胸の張りは妊娠初期の症状として現れますが、具体的にはいつからみられるのでしょうか?詳しい時期について見ていきましょう。
妊娠前から胸の張りがみられることも
胸の張りを感じるのはプロゲステロンの分泌量が増えることに関係していることをお伝えしましたが、プロゲステロンの分泌量は生理周期の中で常に変動しており、妊娠してはじめて、ゼロから増えるのではありません。プロゲステロンの分泌量は排卵後にも増加します。
卵子が排出された後、妊娠の準備を整えるためにプロゲステロンの分泌量が増え、体温の上昇・身体に水分を蓄える・子宮内膜を厚くやわらかくして受精卵が着床しやすいようにするなどの身体の変化が起こります。このときにも、子宮や乳房の水分量が増えるので、胸の張りを感じます。そのため、妊娠が成立する前から胸の張りを感じることもあります。
妊娠が成立しなかった場合は、排卵後1週間程度をピークにプロゲステロンの分泌量が徐々に減少していきます。子宮や乳房に蓄えられた水分はその後も少し増えますが、月経時に血液と一緒に身体の外へと排出されます。月経がはじまると乳房に蓄えられていた水分も減っていくので、月経が終わる頃には胸の張りは落ち着いていきます。
胸の張りはいつまで続く?
胸の張りに関係する女性ホルモンのプロゲステロンは、エストロゲンとともに妊娠中も増加し、出産後に一気に減少します。出産後は妊娠中から増加していた母乳の分泌を促す持つプロラクチンの働きによって乳腺が発達し、胸が張ります。妊娠中から出産後にかけて、ホルモンの変化が継続して起こっているわけですが、胸の張りがいつまで続くかは人によって異なるようです。
妊娠中の胸の張りの変化
妊娠初期だけ胸の張りがみられ、安定期に入ると症状が軽くなったという方や、妊娠中、胸が大きくなるにつれて胸の張りも辛かったという方など、胸の張りの現れ方は人によって様々です。
私自身、胸の張りがいちばん気になった時期は、妊娠がわかる前のちょうど生理予定日の前頃でした。出産に近づくにつれて胸の張りというよりは、大きくなった胸の重みや引き伸ばされた皮膚のかゆみを強く感じたことを覚えています。
出産後は、産後2〜3日後に強い胸の張りを感じて痛くてたまらない思いをしました。出産後の胸の張りはビリビリと乳頭の先まで痛むような妊娠初期の胸の張りとはまた違う胸の張り感でした。
妊娠初期に感じていた胸の張りがしばらくすると落ち着くのは、妊娠初期は急激にホルモンが増加して身体も大きく変化するのに対し、ホルモンの分泌量が安定してくる安定期は、身体も変化に慣れてくるので胸の張りが気にならなくなるという影響もあるようです。安定期に入って落ち着いていた胸の張りも、出産後は再び、母乳をつくる働きによって復活します。
胸の張りは妊娠前から出産後まで続くことも
女性ホルモンの変動が大きい妊娠前から出産後にかけての長い時期、女性は胸の変化と付き合うこととなります。胸の血流を妨げることや胸への刺激は、張りが強くなって痛みが増すこともあります。胸を圧迫せず、肌に優しい素材の下着を身に着けることや、急激な温度の変化から身体を守る工夫をして過ごしましょう。
労働者健康安全機構 中国労災病院 中央検査部 妊娠検査について Link
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