授乳中に胸が痛い思いをしないために。乳腺炎の予防法

乳腺炎の発症頻度は3〜20%と言われています。1)数字で見ると乳腺炎にならない人の方が多いと言えますが、乳腺炎は、適切な対処を行わないまま放っておくと、外科手術が必要になることもあります。 私自身も三人の子どもの授乳で毎回、乳腺炎に悩まされました。40度近い高熱が出て動けなくなったことや休日に助産院に駆け込んで乳管の詰まりをとってもらったこともあります。 乳腺炎になると胸の痛みや違和感で非常に辛い思いをします。一度なると繰り返しなることも多く、乳腺炎にならないための予防が大切です。 今回は、乳腺炎の予防法として文献に示されていることや私自身が実際に行って良かった予防法について皆さんと一緒にみていきたいと思います。 授乳中の女性が乳腺炎になる原因 母乳育児の促進・保護・支援を目的に、1993年に医師のグループによって設立されたAcademy of Breastfeeding Medicine(ABM)が提唱する乳腺炎の原因は以下の通りです。1) 授乳回数が少ない 授乳間隔が空く 赤ちゃんが母乳を吸う力が弱いなどで効率的な授乳が行えていない ミルクの与え過ぎ 母乳の過剰な分泌 急な断乳 きついブラジャーなど、乳房の圧迫 乳頭の白斑、乳管の閉塞 乳頭の損傷 母親のストレス、疲労 母親や赤ちゃんの病気 乳腺炎にならないための予防法 上記の乳腺炎になる要因からみると、乳腺炎にならないための予防法として以下のことが挙げられます。 赤ちゃんがお母さんの母乳を適切に吸い、効率よく飲むことができる授乳体勢や授乳の方法を習得すること ミルクのあげすぎや授乳間隔が空くことのないように、赤ちゃんが母乳を欲しがるペースに合わせて頻回に授乳を行うこと 母乳が過剰に分泌され、乳房が張るときは授乳前後に搾乳を行って対処すること。(搾乳のし過ぎが過剰な分泌につながることもあるので搾乳のし過ぎには気をつける。) 乳房の痛みやしこり 赤み 熱感など、いつもと違う兆候がないか乳房のチェックを行うこと 乳頭の白斑や乳管の閉塞をみつけたら乳頭マッサージなどで取り除くことができるように対処法を学んでおくこと 乳房のいつもの違う状態から24時間以内に乳房の状態が改善しない場合、また、乳頭が傷ついたとき、授乳がうまくいっていないと感じたときは早めに医療機関や助産師に相談し、適切な対処を行うこと2)…

授乳中の胸が張る!どうやってマッサージしたらいい?

授乳期間中に思いがけず胸が張ってしまうことがありますね。 いつもの胸の張りと違うと、「どうしよう!」と不安になることでしょう。 授乳中の胸の張りには、いくつかの原因とそれに応じた対処方法があります。 その対処方法の中でも乳房のマッサージはどうしたら良いのかお話します。 産後3日前後の胸の張り 産後一番初めに胸の張りを感じるのは、おそらく産後3日前後でしょう。 症状 産後3前後の乳房の張りは、乳房がホルモンに反応して母乳を作って分泌の準備をしているときに起こり、だいたい数日でおさまります。 マッサージ 産後間もなくのマッサージは行ってもいいのですが、痛みを伴うこともあるため自分ではマッサージを行うのが難しいことが多いのです。 例えば、乳房が石のように硬くなり痛くなる場合には、肋骨に張り付くような感じになります。 そのようなときには、乳房を前後左右に少しずつ動かしてみましょう。 乳房が石のように硬いときには、乳輪部や乳頭部も硬く痛い場合が多いため、乳頭と乳輪部もつまんだり乳輪部を押したりしてほぐすといいですね。 この時期は、まだ入院していることが多いため、助産師にどうやってマッサージするのかを教えてもらうと良いと思います。 また、痛いことは自分ではできないので、助産師にマッサージをお願いしてみてくださいね。 母乳がたまっているときの胸の張り 母乳がたまってしまい乳房が張ることもあります。 症状 母乳がある程度出るようになってから胸が張る場合は、母乳が溜まっていることによる張りかもしれません。 飲み残しや乳腺がつまりかけている可能性がありますので、注意が必要です。 赤ちゃんが母乳を飲み残していてただたまっているだけだと、乳房全体が張って重いと感じることも多いです。 乳腺がつまりかけている場合は、その腺につながっている場所が張って硬くなっていたり痛かったりします。 マッサージ 母乳が溜まっているだけならば、乳房を前後左右に動かしながら搾乳すると良いでしょう。 乳腺がつまりかけていて、乳房の張りがある場所に限局している場合は、そこを押さえたり乳頭の方へしごいたりしてマッサージしてみましょう。 その後に抱き方を変えて授乳してみてくださいね。 乳腺炎のときの胸の張り 乳腺炎のときには、胸の張りを強く感じることが多いです。 症状 化膿性の乳腺炎になったときには、乳房が赤く腫れたりしこりになったりして痛みを伴うことが多いです。…

乳腺炎?授乳中に胸が痛い!熱もある!

授乳中に胸が痛く熱が出るとびっくりしますね。 それでま順調だった授乳も乳房が痛くて、うまくできなかったり身体がつらくなったりすることもあります。 授乳中に胸の痛みがあって熱もあるときは、「乳腺炎」になっていることが多いです。 「乳腺炎」と聞くと慌ててしまうかもしれませんが、きちんと対処すれば大丈夫です。 乳腺炎には2種類あります。 ここでは、乳腺炎の種類とその原因や症状、対処方法について比較し、やってはいけないことについてもお話します。 ぜひ、参考にしてくださいね。 乳腺炎の種類と原因:感染しているかどうかがポイント 乳腺炎には、下記のように2つの種類があります。 感染しているかどうかで違いがあるのですね。 乳腺炎の種類 原因 非感染性(うっ滞性)乳腺炎 非感染性(うっ滞性)乳腺炎は、母乳が分泌されるときに通る管である乳管が詰まったり、母乳がたまったりしているために、乳房に炎症症状が出る。 感染性(化膿性)乳腺炎 感染性(化膿性)乳腺炎は、乳頭や乳輪部の傷口からブドウ球菌、レンサ球菌などに感染することによって起こる。 症状:発熱があるかどうかがポイント 乳腺炎の症状は、2つの乳腺炎で症状が異なります。 全身的な熱があるかどうかが大きな違いです。 乳房の症状があって高熱が出たら、まず感染性(化膿性)乳腺炎を疑いましょう。 非感染性(うっ滞性)乳腺炎 母乳がうっ滞性(たまる)しているために、症状が出ているのですから、それを外に出す必要があります。 下記のように対処してみましょう。 授乳する 乳腺炎のときでも授乳しても大丈夫です。 意識して頻繁に授乳してみましょう。 授乳姿勢を変えて飲ませるのも良いでしょう。 そのときに、乳腺炎になっている乳房ばかりを授乳すると、反対側の母乳がうっ滞してくることがありますので注意が必要です。 搾乳する 赤ちゃんがあまり母乳を飲まない場合は、搾乳する必要があります。…

授乳中に胸が痛い!いつまで続くの?

お母さんにとって授乳の時間は、かわいい我が子を抱きながら話しかけたり愛おしく感じたりして、とても大切な時間ですね。 でも、授乳期間中には、乳房が張ったり乳頭が痛かったりして不快な思いをすることもあります。 「授乳がこんなに痛いなんて!」と、びっくりしているお母さんもいらっしゃるかもしれませんね。 授乳中の胸の痛みにはいくつかの種類があります。 それぞれの痛みの原因やいつまで続くのか、痛みを和らげるための工夫や対処方法についてお話していきます。 乳房の張りによる痛み 産後一番初めに感じる乳房の痛みは、乳房の張りによる痛みによるものが多いです。 原因と症状 産後3日前後は、ホルモンの分泌によって乳房が急に張ってきて、痛みを感じることがあります。 この頃の乳房の張りは、母乳を作って分泌する準備をしていることによる張りです。 だんだん乳房が張ってきて、石が入っているかのように硬くなることもありますし、ほんのり張って違和感があるという程度の方もいらっしゃいます。 いつまで 産後3日前後のにある乳房全体の張りの痛みは、数日でおさまることが多いです。 母乳が少しずつ分泌するようになると、赤ちゃんが飲んでくれるのでだんだんと乳房の張りがほぐれて痛みがおさまってきます。 対処方法 少しずつでも作られた母乳を出していくことが重要です。 授乳する 母乳を与えているうちに痛みが良くなってくることがほとんどですので、根気よく授乳しましょう。 少しづつでもいいので、赤ちゃんに母乳を飲んでもらうといいですね。 助産師に張りをほぐしてもらう 産後3日目頃は、まだ入院中のことが多いですね。 赤ちゃんが乳頭に吸い付きにくくてうまく授乳ができない場合や、自分で乳房の痛みをどうしようもできないときには、助産師に乳房の張りをほぐしてもらうと赤ちゃんが飲みやすくなることがあります。 乳房の張りによって痛い場合には、乳房内にある母乳を出していく必要があります。 でも、まだ作られる母乳の量が少ないため、たくさんの量は搾乳できないことが多いのです。 この時期は、あまりたくさんの母乳は出ないことが多いのですが、痛みがあるからといって放っておくと、もっと乳房の張りが強くなって痛くなりますので注意が必要です。 乳房を冷やす この頃に、あまりにも乳房が痛い場合は、痛みが和らぐことがありますので冷やすと良いでしょう。 対症療法ですが、眠れないほどの張りがあって痛いときには冷やしてみましょう。 寒いようなら、無理をして冷やさなくても大丈夫です。 浅吸いになっていることによる痛み…

授乳中の胸のかぶれが気になる!その原因と対処方法

授乳中には、汗もかくし胸がかぶれて気になるという方がいらっしゃるのではないでしょうか。 「かぶれて痒いあまりにかきむしって傷になっている」「ステロイドを処方されているけど、使うのが怖くて放置している」「それほどひどくないけど、痒いのがストレス」など、状態は様々でしょう。 授乳中に胸がかぶれる原因にはいくつかあり、対処方法もありますのでご紹介していきましょう。 授乳期に胸がかぶれる原因 たくさん汗をかく 産後は、母乳を作るために胸が熱くなりやすく、汗もかきやすいです。 夏場だと余計に暑く感じて汗もたくさん出ることでしょう。 着替えやシャワーが必要になるくらい汗をダラダラかいてしまうこともありますね。 こまめに対処できればいいのですが、赤ちゃんのお世話や他のことをしていると、なかなか時間が取れずこまめには対処できないかもしれません。 その汗が皮膚への刺激になって、胸がかぶれることがあります。 胸全体が汗で蒸れていて赤くかぶれている方がいますね。 乾燥 肌の水分が奪われて乾燥していると、皮膚のバリアが弱くなって少しの刺激でもかぶれてしまうことがあるでしょう。 産後のお母さんの免疫力は、妊娠中に引き続き低下したままですので、かきむしった傷が治りにくくなることがあるのです。 また、夏にはクーラーによる乾燥にも注意しましょう。 母乳パッドかぶれ 母乳が漏れてくるために、母乳パッドを使用している方も多くいらっしゃるでしょう。 母乳パッドの素材が肌に合わずに、皮膚への刺激になっている場合もありますね。 生理用品が肌に合わないのと同じです。 母乳パッドは長時間当てているものですし、母乳で湿り気があり、連続して皮膚が刺激に耐えなければならない状態になるのです。 また、母乳パッドに吸収された母乳で蒸れてしまうこともあります。 「母乳が漏れるから母乳パッドをしているのに、パッドにかぶれちゃってガーゼやタオルをあてている」という方もいらっしゃいます。 母乳が漏れる 母乳が漏れてしまって乳房に付いて、それがかぶれの原因になっている方も多くいらっしゃいます。 母乳の成分はほとんどが水分ですが、その他にタンパク質や脂肪分も含まれ、栄養がたっぶり入っています。 母乳そのものが皮膚に悪影響を及ぼすわけではありませんが、肌が弱い人、母乳パッドやブラジャーの蒸れ、汗などの影響で、それらが長く皮膚に付着していると変化が起こってかぶれの原因になってしまいます。 ちょうど乳頭・乳輪部を中心に、母乳が漏れて赤くかぶれている方をお見かけすることがあります。 赤ちゃんのよだれ 赤ちゃんのよだれが肌についてかぶれる方もいらっしゃいますね。 よだれは、消化酵素が含まれているものです。…

授乳期のおっぱいトラブル!乳首の黒ずみや痒みは予防できる?ケア方法は?

実は授乳期には乳首の黒ずみやバストの痒みなどのトラブルも起こるのです。 今回はそんなバストトラブルの原因や予防方法についてご紹介します。 乳首の黒ずみ そもそも乳首に限らずなぜ肌(特にデリケートな部位)が黒ずむのかといえば、メラニン色素が大きく関わっています。 紫外線や物理的な摩擦などによる刺激を受けると、体は皮膚を保護しようとしてメラニンを生成します。 そこで生成されたメラニンが色素沈着を起こし肌が黒ずんでしまうのです。 また、ホルモンが過剰に分泌されることによりメラニン色素が増え肌が黒ずむこともあります。 通常であれば肌のターンオーバーによりメラニンは古い角質などと一緒に排出され、綺麗な肌へ生まれ変わっていきます。 しかし何らかの原因でメラニンが過剰に生成されてしまうと、メラニンを排出しきれず肌に黒ずみが残ってしまうのです。 授乳期おける黒ずみの原因は、授乳による物理的な摩擦とホルモンバランスの乱れと考えられます。 授乳時は何度もブラの着脱をし、赤ちゃんが乳首を口に含むので物理的な摩擦が増えます。 更に授乳期はエストロゲンやプロゲステロンというメラニン色素の生成を促すホルモンが増加するため、乳首が黒ずみやすくなります。 しかもエストロゲンやプロゲステロンは妊娠初期から増え始めるので、出産前から乳首が黒ずみ始める人もいるのです。 そのため妊娠期からバストトップケアを行い、黒ずみ予防をしたほうが良いといえます。 では、一度黒ずんでしまった乳首はずっとそのままなのでしょうか? 安心してください、基本的に授乳期が終わればホルモンの分泌も減りますので、肌のターンオーバーにより乳首の色はゆっくりと元に戻っていきます。 しかし、中には乳首の色が黒ずんだままという人も。 黒ずみの予防やケア方法としては以下の5点が挙げられます。 妊娠出産時のサイズに合わせたブラを着用する 妊娠出産に伴いバストサイズが1〜2カップアップする人が多いです。 適切なサイズのブラを着用しないとバストトップが擦れて黒ずみの原因になってしまいます。 精乳やアロエパックでセルフケア ヨーグルトの上澄みであるホエーやアロエにはメラニン生成や生成を促す酵素を抑制する働きがあります。 直接塗りこんだり、コットンに染みこませてパックをしましょう。 規則正しい食生活で肌のターンオーバー周期を整える 一般的に肌のターンオーバーは28日周期といわれています。 不規則な生活をしていると肌のターンオーバーが遅くなりどんどん肌の深層に色素が沈着していき、黒ずみを改善するのが難しくなっていきます。 皮膚科で塗り薬を処方してもらう メラニン生成を抑制する効果のあるハイドロキノンクリームや肌のターンオーバーを促す効果のあるトレチノインクリームを処方してもらえます。 両方とも刺激が強く、肌荒れや紫外線に弱くなるなどの副作用も報告されています。使用の際は専門医とよく相談してください。…

ズキズキ?チクチク?授乳期の胸の痛みの原因と対処方法について

授乳中、「胸が痛い」とご相談を受けることが何度もあります。 「胸が硬くてズキズキ痛い」「乳頭がヒリヒリ痛い」「授乳していると反対側がチクチクする」など、訴えは様々です。 このように、授乳中に胸の痛みを感じる方はたくさんいらっしゃるでしょう。でも、その原因が何かわからないと対処方法に困りますね。ここでは、授乳中の胸の痛みの原因やその対処方法について、わかりやすくお話します。 うっ積状態 原因 産後3日前後に胸が痛む原因として、母乳のうっ積が考えられます。 胸が温かくなって張り始め、だんだん痛みが出てくることが多いです。 これは、乳房の中の乳腺細胞が、血液中のタンパク質などの必要な栄養素を細胞内に取り込み、母乳を作っているところでこのような変化が起こるとされています。 中には、乳房がガチガチになって、乳房の中に石が入っているのではないかと思うほど硬く痛くなる方がいらっしゃいます。 でも、これはほとんどが生理的な範囲ですので、それほど心配はいりません。 対処方法 授乳する 赤ちゃんが欲しがるときには、授乳しましょう。 胸が痛いからと言って、そのままにしておくとどんどん痛くなってきます。 うっ積状態になるのは、産後の日数が浅く入院中のことが多いため、スタッフにどうしたらいいか相談できるといいですね。 搾乳 うっ積状態のときには、手でポタポタと母乳を搾るのが良いでしょう。 搾乳器を使うと、乳房への刺激が強かったり余計に痛くなったりすることがあります。 軽く動かす 乳房全体を軽く動かしながら、授乳や搾乳ができると少しは母乳が出やすいかもしれません。 動かすと痛いと思いますので加減しながら行い、無理しないようにしましょう。 冷やす 眠れないほど乳房が痛いときには、冷やすと少し痛みが軽くなります。 保冷剤をハンカチやタオルで覆って、冷やすことができるといいですね。 でも、身体が冷えて寒くなってしまうほど無理に冷やさないようにしましょう。 時々、「乳房をキャベツで冷やしましょう」とアドバイスを受ける方がいらっしゃるようですが、キャベツを選ぶメリットはありません。 なぜならば、菌が付着していて感染の可能性がありますし、保冷剤など他に冷やす手段があるからです。 「キャベツ湿布」は、昔は行われていた方法ですが、現在は野菜に付着する菌で感染のリスクも考えられるため、行われなくなりました。 キャベツが冷たくなくなった後の匂いが、鼻について離れないという声もお聞きします。 家にある保冷剤やタオルなどで冷やしましょう。…

胸が痛い!授乳中に起こる辛い乳腺炎の対処法とは

授乳中に乳腺炎で悩んだ経験を持つお母さんも多いのではないでしょうか? 乳腺炎になると乳房の痛みや腫れなどの身体的な症状だけではなく、いつもと違う乳房の状態への不安など、精神的なダメージも大きなものとなります。胸の痛みを抱えていると、赤ちゃんを抱っこすることさえ辛いこともあるでしょう。 今回はそんな辛い乳腺炎の対処法について、どのような方法があるのかを皆さんと一緒に勉強していきたいと思います。 まずは赤ちゃんに良く吸ってもらうこと 乳頭には数本の乳管が開いています。そのうちの1本の乳管が軽く詰まり、乳腺に母乳が溜まって腫れて痛いという初期の段階であれば、赤ちゃんに良く吸ってもらうことで詰まりがとれることもあります。 しこりができている部分に軽く手を添えて母乳の出を誘導することもよいでしょう。強く押さえると炎症がひどくなるので逆効果です。赤ちゃんに母乳を吸ってもらうときには抱っこの仕方にもポイントがあります。 授乳時に抱っこの仕方を変えること お母さんが授乳しやすい体勢や赤ちゃんのお気に入りの抱っこがあると思いますが、毎回同じ抱っこの仕方で授乳を行うと、一部の乳管・乳腺に母乳が残ったままとなり、乳腺炎を起こしやすくなります。 いつも乳房の同じ部分が腫れて痛みが出るという方は、詰まりやすい乳管があるのかもしれません。全ての乳管から母乳が出るように、横抱き・縦抱き・フットボール抱きなど、赤ちゃんの抱き方を変え、赤ちゃんがいつも同じ向きで乳頭をくわえることのないように工夫してみましょう。 乳房と乳頭のマッサージをする 産院の母親教室でも行われる乳房と乳頭のマッサージを行うのもおすすめです。 乳房の脇側や下側が張り付くように硬くなって、母乳の流れが悪くなる場合があります。乳房全体を包み込むように持ち、脇や下方から優しく剥がすように動かして母乳の流れを促しましょう。 また、乳頭をマッサージして乳管をしっかり開くことも大切です。乳頭をいろいろな方向から優しくつまんだときに硬い部分がある場合は、赤ちゃんの吸い癖や抱き方、乳頭の形などによって開きにくい乳管ができている可能性があります。 どの方向から乳頭を触っても柔らかい状態となるように、乳頭を優しくつまんでほぐすようにマッサージするとよいでしょう。乳管や乳腺を傷めないように強いマッサージは避けましょう。 マッサージの前に蒸しタオルで乳管を開きやすくする 乳房と乳頭のマッサージの前には、乳房と乳頭を蒸しタオルで温めると乳管が開きやすくなり、詰まりがとれやすくなります。蒸しタオルは電子レンジを使って自宅でも簡単に作ることができます。 ハンドタオルや薄手のフェイスタオルを水で濡らし、ビニール袋に入れてから、袋の口は縛らずに電子レンジで約50秒温めましょう。温めたら、タオルを広げて空気にさらし、手首で熱さを確かめて乳房と乳頭に当てます。温めた直後はタオルが熱くなっているので火傷に気をつけましょう。 食事内容の見直し 母乳はお母さんの食べたものでつくられるので脂肪分の多いものや甘いお菓子を食べると母乳がドロドロになって詰まりやすくなります。脂肪分が少なく、栄養バランスの良い和食中心の食事を心がけ、甘いお菓子やジュースは控えるようにしましょう。 ゴボウシを煎じで飲む 牛蒡子(ゴボウシ)とは漢方の生薬として用いられるゴボウの種です。ゴボウシと水を鍋に入れて30分ほど煮詰め、煮出した汁を飲むと乳腺炎によいとされています。ゴボウ茶とは別物で、お味は罰ゲーム並みの苦さです。 しかし、「良薬は口に苦し」ともいうように、飲むと乳管の詰まりがとれやすくなります。ゴボウシは漢方の生薬を取り扱っているお店で購入できます。煎じ方や飲み方は、乳腺炎の症状に使用したい旨を伝え、確認しましょう。効き方には個人差がありますので、飲んでも症状が変わらない、悪化するという場合は医療機関を受診するようにしましょう。 医療機関や助産院の母乳外来を受診する 赤ちゃんに吸ってもらっても、マッサージを行っても、食事内容を見直しても胸が痛い、腫れや赤み、熱感がひかない、熱が出てきたなどの症状がある場合は産婦人科や乳腺外科、助産院の母乳外来を受診しましょう。「胸が痛い。乳腺炎かな?」と思ってから、何もせずに放っておくと、あっという間に乳房の状態は悪化していきます。 病院では、助産師が乳房の状態を診る対応を行っていない場合は、乳腺炎の腫れや痛みを鎮める鎮痛剤や、炎症をおさえて母乳の流れを促すとされる葛根湯が処方されるだけのこともあります。 乳房がカチカチになって痛いなど、乳管の詰まりを一刻も早く解消したい場合や、自分のマッサージの仕方に不安がある場合は、助産師が乳房の状態を診る対応を行っている病院や助産院に問い合わせて受診しましょう。 助産院での乳房のマッサージは保険外の診療となり、費用も助産院によって異なるので、問い合わせ時に確認するのがおすすめです。

授乳中に起こる胸の張りやしこりの正体は?対処はどうするの?

授乳中に恐れられている胸の張りとしこりは、なぜ起こるのでしょうか。 繰り返す方もいらっしゃいますし、何の症状もない方もいらっしゃいます。 胸の張りとしこりの正体は何か、その対処方法についてお話します。 産後3日前後の胸の張りの正体は? 産後3日前後に起こる乳房の張りは、生理的な乳房の変化ですので、多くの方が体験するかもしれません。 このときに、しこりを感じる方もいらっしゃいますが、それほど多くはありません。 原因 この頃の胸の張りの正体は、母乳が作られる過程で起こる変化です。 産後間もなくは、妊娠中とは働きが違うホルモンが分泌され乳房に作用します。 その反応として胸が張るのです。 産後3日前後になると、胸の血管が青く浮き出ていることが多く、だんだんと胸が張ってくることがあります。 母乳は血液やリンパ液などからできていますので、それらが乳房にどんどん集まり、母乳を作る過程で胸を張らせるのです。 といっても、すべての方が胸の張りを感じるわけではありません。 また、中には乳房に石が入っているかのように硬く張り付くような胸になっていることがあります。 胸の張りの様子は個人差があります。 そして、胸の張り具合で母乳がよく出る、出ないの判断はできません。 いつまで続く? 産後3日前後の胸の張りは、しばらく続き、赤ちゃんが母乳をしっかりと飲めるようになったり、うまく搾乳ができると、産後9日目頃以降は落ち着いてくると言われています。 対処方法 対処方法としては、赤ちゃんに積極的に授乳することです。 乳輪部と乳頭部をつまんで母乳が何本か出てくるようでしたら、乳腺は開通しています。 今後開通する乳腺は増えてくるでしょう。 乳腺が開通していない場合は、乳輪部と乳頭部をつまむ、もみずらす、引っ張るなどしてほぐしましょう。 このとき、乳頭だけではなく乳輪部も合わせてほぐすのがポイントです。 石のように硬く肋骨に張り付いている乳房の場合は、乳房全体をゆっくりと肋骨からはがすように動かしてみてください。  何ヶ月かたった後の胸の張りやしこりの正体は? 産後間もなくの時期だけでなく、何ヶ月かたってからの胸の張りやしこりもあります。 原因 授乳を始めて何週間もたった後の張りやしこりの多くは、乳腺の詰まりや授乳間隔が長くあくことによって、母乳が溜まっていることによって起こります。 頑固なしこりは、乳房の張りはおさまったけど、しこりがなくならないということもあります。…